葉枯らし乾燥材の行方とは。人の手を渡り、木箱に生まれ変わる五木の杉。

葉枯らし乾燥材の行方とは。
人の手を渡り、木箱に生まれ変わる五木の杉。

この度は木のむら五木のwebサイトにアクセスいただきありがとうございます。
このサイトでは、五木村で掲げている「森林の恵みを、知恵と真心で大切に活かし、自然と人との温かなつながりを次世代にも受け渡していきたい。」をコンセプトに、五木村の情報発信を行っています。
今回お邪魔したのは、五木の木材で木箱を作っている七草会さんです。

■五木の杉が、七草会で木箱に生まれ変わる

人吉に事業所を構える一般社団法人七草会就労継続支援B型あらた。
地域に密着し共に手を携えあい充実した日常生活、又は社会生活を営み生きていけるコミュニティ創りを目指す、障害のある方向けの就労支援施設です。
様々な内職関係の仕事を請負い、利用者の方は自分に合った仕事を自分のペースで行っています。

私が訪れたとき、それぞれ黙々と作業に取り組んでいた利用者の皆さん。
「こんにちは」と、邪魔にならないよう控えめながら挨拶をすると、皆さん顔を上げて返事をしてくださいました。
その部屋の奥で、高く積まれていたのが五木の杉材です。
山口県の漁港で使われる漁業関係の木箱を作っているのだそう。
まっさらな木の板が、誰の手を渡ってどのように加工され、使われるのか。
五木の木材のその後を追ってみました。

■木箱作りを覗いてみましょう。まずは板の加工からスタート。

五木村から七草会には綺麗にサイズが揃った杉板が届きます。
どうして五木村の材を使っているのか聞くと、
「綺麗だったんですよね。五木村の木は表面も綺麗で、入ってくるサイズも整ってる。
綺麗なサイズで送られてくる材であれば、こちらでトリミングする工数も少なくなり、職員の労力をだいぶ減るなっていうところで、だいぶ効率的になりました。」とのこと。
五木村の木は綺麗で質が良く、使いやすかったといいます。

この木材を、職員さんが機械で切断。
箱の側面にするため細くカットされ、溝も同時に入っていきます。

それを箱の長さに切りそろえれば、組み立ての準備は完了です。
次は利用者さんたちにバトンタッチ。

■枠にはめ込んで穴を開ける

ここでは、利用者の皆さんが一つ一つの工程を役割分担し、みんなで協力して作り上げていきます。

まずは、木のパーツを枠材にはめ合わせるところから。
白い木や赤い木など色にバラツキがあるため、色を揃えながら木片を枠材にはめ込む。
はめ込んだものを機械にセットすると、四隅のドリルであっという間に穴が空きます。

■木釘を打ち込みます。

穴を開けた木箱を隣にパス。
すると、次の担当者が開いている穴に木釘をトンカチで打ち込んでいきます。

トントントンとしていた軽快な音が途絶えたと思ったら、5つあったパーツが一つに組み立てられていました。
しっかり固定できているのを確認したら、次のパートにパス

■やすりで磨き上げて完成。

最後に、表面にさらさらとやすりがけをして完成。

小さい木箱ですが、釘まで木でできていることで高級感があります。
また漁業で使うため、水捌けを考慮して底板があえて動くようになっているそう。

実用性も兼ね備えたデザインになっていたんですね。

■最終段階では、検品して箱詰め。月1万3000個も出荷。

できた木箱を、職員の方が検品して箱詰めをします。
その際には、傷やカビがないか、節が表面にあったり曲がったりしていないかを慎重に検査するそう。
450個の木箱を一つの段ボールに詰め、ようやく出荷です。

月の総出荷数は、なんと月1万3000個。
役割分担をしているからこそこれだけたくさんの商品を作れ、また、利用者の方も自分にあったお仕事をできているのでしょう。

■木の芽を入れる箱、お節介便の木箱も作成

漁業用の木箱のほか、山椒の芽など木の芽を入れる箱も作っています。
こちらはお客様の要望により、ホチキスで止めているそう。

また、昨年の11月、12月はお節介便に使う木箱の組み立てもしていました。
お節介便とは、五木村の特産品を詰め込んだ産地直送便。
ものづくり工房で加工した木材の組み立てをしていましたが、現在は五木村の地域おこし協力隊の方に引き継いでいます。

■まとめ

質が良く、サイズが揃っていて使いやすいという五木の材。
その木材は、ここ七草会でたくさんの人の手が加わり新たな形に生まれ変わっていました。
この先では漁業関係者や消費者の手に渡り、役に立っていくのでしょう。
今あなたが使っている木製品も、もしかしたら五木の杉かもしれませんね。