いざ、仰烏帽子(のけえぼし)山へ福寿草を見に。仰烏帽子は登山初心者にもオススメ。

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今回は、仰烏帽子山(のけえぼし)に実際に登って仰烏帽子登山をレポート。
登山初心者にもオススメの山です。

■仰烏帽子山(のけえぼし)とは?

四方を山に囲まれ日本一の清流川辺川が走る、自然豊かな地。熊本県五木村。
その南西端に、今回登る仰烏帽子山は高くそびえ立っています。
標高は、1302メートル。

2021年は、2月13日に山開きをしました。
毎年雪の状況も考慮しつつ、春が来ると登山シーズンになります。
仰烏帽子には福寿草の群生地があることから、2月から3月にかけての福寿草の開花時期は特に人気です。

登山口からは100メートルと初心者向けの山なので、登山初挑戦の私が実際に登ってみました。

■第二登山口までは車で登る

仰烏帽子の登山口までは、車で移動します。

木材の加工小屋から、看板にしたがって右折。
その先は道なりに進んで行きます。

途中、昨年7月の豪雨により被災したのか、道路が砂利道に。
普通車で通行できますが、いたるところで路面が荒れています。

この道路、令和3年6月から災害復旧工事のため全面通行止を行うそう。
仰烏帽子登山の際は、出発前に道路状況も確認することをオススメします。

■第二登山口に到着

小屋から車で約10分ほどで、登山口に到着しました。

ここは、およそ1200メートルの高さ。
十分高く遠くの山が綺麗に見えていましたが、100メートルほど登った所が山頂です。

驚いたことに、私たちが到着した午前8時半、駐車場はほとんど埋まっていました。
宮崎、久留米、山口など県外ナンバーの数々。
福寿草シーズンということあり、遠方からも登山にくる人が多いそう。

■出発前にトイレは済ませて。

第二登山口には仮設トイレがあります。

トイレは登山前に済ませておきましょう。
山中にはトイレがないため、お花摘みに行かなければなりません。
気になる方は、登山前や登山中に、コーヒーやお茶など利尿作用のあるものを控えたり、少量ずつこまめに水分補給するといいでしょう。

■当日の服装と持ち物

私たちが登ったのは、3月初旬。
雪が溶け、暖かくなり始める季節です。
しかし、まだまだ山は寒い。

そんな日には、以下のような服装で登山に臨みます。
ベースレイヤー:コットン100%Tシャツ
ミッドレイヤー:フリース
アウターレイヤー:ゴアテックス素材のジャケット
パンツ:伸縮性のあるパンツ
キャップ:メッシュキャップ
靴:トレッキングシューズ
ザック:30L

仰烏帽子は比較的整備され登りやすいということもあり、以下のようにスニーカー、ジーパン、ウィンドブレーカーなどカジュアルなスタイルでも問題ありませんでした。
特に初心者の方は、初めは普段着を活用し、徐々に足りないものを増やしていくといいでしょう。

持ち物について、荷物を入れるリュックと水分は必須。
加えて、レインウェアやタオル、ティッシュ、ゴミ箱、行動食などは持っておきましょう。往復3時間ほどで短時間の登山なので、その時間と目的にあった持ち物を準備できるといいですね。

季節によっても装備や服装は変わってきますので、事前に調べて登山しましょう。

■登山届台帳に記入を忘れないで

登山口には、登山届台帳が準備されています。

これは、登った記録と合わせて降りた記録も確認することで、遭難を把握するためのもの。
安全のためにも、必ず書き残しておきます。

下山したときにも必ず下山時間を記入するようにしましょう。

■初登山にレッツゴー

それでは、いよいよ登山に出発。
まだ残る霜柱を踏み鳴らしながら、杉と杉の間を進んでいきます。

登山道は、階段状に整備されていたり、マルタが埋め込まれていたりと、歩きやすい印象。
聞くと、小学校高学年くらいの子供から90歳のおじいちゃんまで登るそう。
初心者向けというのも納得です。

山道には雪が残っており、未だ冬の影があります。

このピンクの紐が、登山道の目標。
登山道を逸れると遭難する恐れがあるため気をつけましょう。

■雪が残っていて粉砂糖のよう

しばらく登り続けると、平坦にな道のりに変わりました。
ふと足元から目の前に視線を移すと、さらさらと降り積もった雪。

手付かずで、まるで粉砂糖のよう。
朝日に照らされてキラキラと輝く様は美しく、神秘的です。
朝だからか、この季節だからか、澄んだ空気がスッと胸の奥に入ってきます。

歩き続けていると、変に森が静かなのに気がつきます。
風がなく、鳥や虫の声もない。
自分たちのガサッガサッという足音だけが聞こえていました。

静かな朝の森。
この森には自分たちしかいないような錯覚を覚えます。
春になるにつれて、賑やかになっていくのでしょう。

■石灰岩の丘

景色が変わり、急に開けた空間に出てきました。
枯れ草が残った草原のような場所。
光に照らされながら歩くのは心地がいいものです。

このあたりから、白っぽい石灰岩が姿を現すようになってきました。
福寿草は石灰岩地帯に生息するため、仰烏帽子で福寿草が見れるのは石灰岩のおかげなんです。

■どちらの道を選ぼう

ここから、道が二手に分かれます。
それぞれは先で一つにつながっているため、どちらを選んでも大丈夫。
福寿草を見るなら、群生地がある左がオススメです。

私たちは、行きに左、帰りに右の道を通ることにしました。

■五木は林業の村

左の道を選び、ほどなく見えてきたのが若い杉の木たち。

これらは10年程経った杉。
伐採まで30、40年程かかるため、まだまだ若い木です。
五木は林業が盛んで、木々はそのうち出荷されます。
特に、木の特性を最大限活かすために枝葉をつけたまま1年程乾燥させる、「葉枯らし乾燥材」は質の良い五木の木材です。

■「こんにちは」「お疲れ様」の挨拶にほっこり

登山中、すれ違う人たちと「こんにちは」「お疲れ様です」と挨拶を交わします。
お互いを労ったり、ちょっと立ち話をしたり。
こういったちょっとしたコミュニケーションも、登山の楽しみの一つではないでしょうか。

■福寿草(フクジュソウ)の群生地発見

そうこうしているうちに、岩の間から福寿草が顔を出しはじめました。

福寿草は北海道から本州の山野に多く見られる植物で、1月〜3月にかけて花を咲かせます。私たちが訪れた3月初旬は、ちょうど福寿草が旬を終える直前の季節でした。
日が当たると花を大きく開花させますが、太陽が当たらなくなるとすぐに閉じてしまうそう。

「福寿草」だなんて、なんと神々しい名前だろうと後から調べてみると、「幸せを招く」「永久の幸福」という花言葉があるようです。
なんだか運気を分けてもらえるような気がします。
県外からでも、この福寿草を楽しみに毎年来ている方がたくさんいらっしゃいました。

■仏石前で一休み

日陰だからか苔が生えた石灰岩で、森の中は良い雰囲気。
石灰岩や木の根が足元に混在する中、杉の間を縫うように登っていきます。

すると、見えてくるのが仏石。
遠くからでも見える大きな石灰岩です。

ここでちょっと休憩。
こまめな水分補給が山登りには欠かせません。

飴ちゃんをもらいました。
疲れた体に甘いものって、なんでこんなに美味しいんでしょう。

■さらに山頂を目指すべし。急な岩の道

さらに山頂を目指して進みます。

一番の難関は、この岩山。
鎖をつかみながら滑る岩肌に足を掛け、進んでいきます。

アスレチックのようで、楽しみながら登りました。

■山歩きは宝探し

歩いているとこんな昭和レトロな看板を発見。
宝物を見つけたような気分です。

その後見つけたのは、「風穴」と書かれた洞窟。

ここに手を当てると、暖かい風がもわっと流れてくるのが分かります。
どうやら、地中で温められた空気がここから出ているよう。
冬の寒い時には、湯気のように霧ができるというから驚きです。

■左に曲がると兎群石山へ

兎群石山では、ウサギが屈んでいるように、石灰岩が見えます。

残念ながら今回は寄れませんでしたが、福寿草の群生地、仏石、兎群石山をめぐるのが仰烏帽子王道ルート。
ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

■登ること約2時間

最後の力を振り絞って…

登頂!
登山初心者の私でも、1302メートル地点まで登りきることができました。

そして、山頂からの眺めは絶景。
登りきった達成感と相まって、最高のご褒美です。

山頂での休憩時間、スナックやランチを食べるのもお楽しみの一つ。
疲れた体に温かい食べ物、飲み物が染みます。

■帰りのぬかるみに気をつけて

帰りは登りに比べてスムーズに足が進みます。
その一方、朝は凍っていた霜が溶け、ぬかるんでいる足元。
足を踏ん張って、うまい具合に体重をのせないと滑って転んでしまいます。

木の杖を見つけて、支えにしても良いでしょう。
滑り落ちないように気をつけて。

■まとめ

仰烏帽子山は道が整備されており、登山初心者でも挑戦しやすい山。
登り進むにつれ、景色や生えている植物に変化があるため、飽きずに楽しみながら登ることができます。

そして、頑張って登ったあとの、山頂からの眺めは絶景。
天気が良ければ、霧島連山まで見渡せます。

楽しみと新たな発見が多い、往復4時間。
達成感も相まって、最高の気分を味わうことができました。

今回は第二登山口から登りましたが、第一登山口からの登山は距離が長く、急になるため難易度が上がります。
登山に慣れている方は、第一登山口から登山に挑戦してみても良いかもしれません。