クリエイター精神が光る、五木村ものづくり工房の挑戦

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このサイトでは、五木村で掲げている「森林の恵みを、知恵と真心で大切に活かし、自然と人との温かなつながりを次世代にも受け渡していきたい。」をコンセプトに、五木村の情報発信を行っています。
今回はものづくり工房の津ケ原さんにお話を伺いました。

■五木村にあるものづくり工房

1000人の村人が暮らす、熊本県球磨郡五木村。
九州一人口が少ないこの村に、特産品の杉を生かした工房があります。

工房を営むのは、津ケ原さん。
30年以上県外で働いていましたが、生まれ育った五木村にUターンしてきました。
五木村の好きなところを聞くと、「山、川が好きだね」と。

五木村は四方八方を山に囲まれた杉の産地です。
川辺川は、国土交通省の一級河川水質ランキングで14年間全国一位を獲得しているほどの美しさ。

そんな自然豊かな五木村で、津ケ原さんが営んでいるものづくり工房をご紹介します。

■レーザー加工品を作る津ケ原さん

今回ご紹介する津ケ原さんは、五木村の杉でレーザー加工品を作成しています。
レーザー加工とは、文字通りレーザー光線を使い、切断や彫刻といった加工を施すこと。
金属や布地、ゴムなど様々な素材を加工できる中、津ケ原さんは木材で作品を作っています。

「五木の建材を出荷してるんですね。その時に、端材がどうしても出るんですよ。そういう葉枯らし材をただ燃やすだけじゃもったいないね。なんか作りたいねってことで始めたんです。」
五木は杉の産地ですが、自然乾燥で木の特性を最大限に生かす、質の良い葉枯らし乾燥材でも端材は燃やされてしまう。
それがもったいなく、有効活用するために木材を加工し始めたそう。

燃やされるはずの材木が津ケ原さんのアイデアと創造力で生まれ変わるなんて、魔法のようです。

■細部までこだわった作品に、一同も圧倒

津ケ原さんの工房で一際目を引くのが木でできたミニカー。
よく見てみると、細かな木のパーツを組み合わせて立体的な作品ができているのです。

車輪が動くのはもちろん、ドアが開閉可能、エンジンやハンドルまで再現するなど、徹底したこだわり。
あまりの細かさに、「うわ~!すごい!」とついつい歓声をあげてしまいました。
車種も一つ一つ異なり、完全オリジナル。ここでしか出会えない唯一の作品です。

お孫さんにプレゼントしたミニカーも見せてもらいましたが、座席にはアンパンマンが座っていました。ちょっとしたデザインにも津ケ原さんの遊び心が光ります。

■人のための作品づくり。

ミニカー以外にもバイクやキーホルダー、お孫さんのために九九の暗算ボードなども作ったそう。
ところが、工房には作品がほとんど残っていません。別の場所にコレクションしているのかと思いきや、「みんなあげちゃうんだよね。」と津ケ原さん。
もともと頼まれて作るか、楽しみで作った作品は人にあげていると言います。

いくつか残っている作品やその写真を見せてもらいました。
木でできた名刺や年賀状、レストランのメニュー、時計屋の時計入れなど。
通常紙で作られるものでも、津ケ原さんの手にかかれば自慢したくなるようなユニークな一品に大変身。
日用品でも、木でできたものは木目が生かされていて高級感があります。

その他に、小中学校の卒業証書も木で作ったそう。
木でできた卒業証書だなんてここでしか手に入らない特別な品です。
子供たちの一生の思い出にもなりますね。

津ケ原さんが作った作品のその先には、人々の笑顔がありました。

■デザインも一から制作

津ケ原さんがどのように作品を作っているのか、見学をさせてもらいました。
まず、作品作りはデザインと設計から始まります。
なんと、ミニカーの設計も一から行っているそう。

また、紙に書いた絵やデザインは、写真で撮影したのち、デジタルのソフトで編集しています。
データが完成すると次は木材の加工です。

■レーザー加工機を使って木材を加工。

機械にできたデータを送り、蜂の巣のような加工台に木材をセットすると、早速加工開始。
ウィーンという音を鳴らしながら、右から左にデザインが印刷されていきます。
あっという間に木の表面に彫刻され、裁断まで完了。

ほんの2、3分で小さな木のキーホルダーが出来上がりました。

■排気口のニコちゃんマーク

工房を出た時に、排気口のニコちゃんマークに目が止まりました。
「あれ、なんですか?」と聞くと、「ちょっと見ててよ」と。
胸を高鳴らせつつ、何が起こるのかと見守ります。

すると、徐々に排気口の風でパタパタとニコちゃんマークが開き始めました。
よく見てみると、なんと風で裏に隠れた飛行機のプロペラが回るという隠し芸。
話を聞くと、連日の制作の息抜きに作ったそう。
息抜きの時間にここまで凝った作品を完成させてしまうなんて、さすがです。
意表をついた仕掛けに最後まで驚きっぱなしでした。

■まとめ

端材を有効利用するために始めたレーザー加工。
なんの変哲もない杉材が、津ケ原さんのアイデア一つであっと驚く作品に生まれ変わっていました。
今日も五木の杉材が、津ケ原さんのクリエイティビティで人々の喜びに繋がっています。