ワイヤロープを空中に張って組み上げた集材装置を使って、
伐採した材を土場と呼ばれる一時集積場まで吊るして運ぶ方法を「架線集材」といいます。
急峻な山の多い五木村では、土場まで材を運ぶ林業用重機が入れない現場も多いので架線の利用価値が高く、
年々減少傾向にある架線技師免許を持つ熟練技師たちも第一線で活躍しています。
装置の架設と運用には確かな知識と経験、そしてチームワークが必要とされますが、とりわけ急斜面の現場での作業効率が上がります。
また重機を林地に入れたり作業道を作る必要が無いので山へのダメージも少なく、次の森林を育む環境を保全します。
やはり樹齢50年を越すような大木を吊るす訳ですから、ワイヤーが飛んできたり材が落下したりと、
大事故につながり易いので最新の注意を払って作業してますね。いつもピリピリとした緊張感の中で仕事をしています。
「キャレージは土場へ!」無線機がなくても通るような大きな声が、五木の谷に響き渡る。
集材機の運転手からは材が目視できない場合が多いので、無線機で誘導する相方が目となります。
見えない相方が、今どんな状態なのか察せる阿吽(あうん)の呼吸が必要だと思います。お互いを信頼していないとできないですね。
林業機械が主流になって、若いモンで架線技師免許持つのは減ってきよっとです。
重機通る道を作ると山が壊れて赤々して景観がよかこつなかですし、山崩れの原因となるとも言われとりますね。
架線集材は、材を土に着けず美しく出せますし、主伐後の造林を考えても、山を荒らさないこの集材方法は、むしろ今後必要とされる技術だと思っとります。
腰を据えて林業を学んで働けば、そりゃあこんな空気のきれいなトコで気持ち良かですし、
自分の仕事が環境保全に貢献しとるとか動物との共存とか、豊かな自然といかに深く関わってるかちゅうやり甲斐もありますよ。
五木村も県も、若い人の林業への就業を支援しとりますけん、どんどん来て欲しいですね。