五木村森林組合が管理する人工林では、1haあたりに3000本もの苗木が植えられます。
その後、数年ごとに樹勢の弱い育成木(杉桧など)を間引いたり、成長を阻害する雑木を伐採します。
成長に合わせて育成木の間隔を調整し、原木として伐採されるまでこれを続けていくのが間伐という作業です。
せっかく植えた杉や桧をなぜ間引きしてしまうのか?
それは、これら樹木は、密集して植えると競い合ってまっすぐ育つからです。まっすぐな材ほど木は高く売れるのです。
また、間伐は環境の保全にも大きな役割を持ちます。木と木の間隔が密すぎると地表に日光が届かず、足元の下草や低木が育ちません。
草木が根を張らない地表に雨が降ると山の表土が流れ出し、落石の多い危険な山になってしまいます。
山が水を吸収する機能は、裸地の2倍とも言われています。
この機能が低下すれば、下流域に大雨による水害を引き起こしたり、土砂が押し流されることで漁業への悪影響をもたらします。
日光が地面まで届き、足元に草木がバランスよく生い茂った森林であることは、
森林の資源価値を高めるばかりでなく、生態系や環境の保全に繋がっているのです。
その現場によって、木の間の不要な木を間引きする作業(定性間伐)があるんですが、傷つけないように倒す向きを加減するのが難しかですね。幹が枝なんかで擦れて傷つくと、そこから腐って商品価値がなくなってしまうので、特に慎重にやっとります。隣が他の山主さんの森林で、樹を傷つけてしまった時なんかは賠償問題にもなりますけん。
下刈りや間伐など、コツコツ40年以上続けてやっと商品になる世界。今日の自分の仕事が、何十年か後にまっすぐな大木となって表れることを想像すると、森林を作る仕事でもあるんだと身が引き締まる思いですね。


間伐された木は、プロセッサーで運搬しやすいサイズに玉切りされ、運搬トラックで素材センターに運搬されて行く。小径木も廃棄されることなく、五木村小径木加工場で土木・造園資材や杭木などに加工されている。
「五木の山はどこでも、組合の管理の下でていねいに森林整備されとりますから、この先もずっと良質な材を算出することが出来っとです。利益を生みながら、次の世代の森林を育てて行くのが使命だと思っとります。山主さんに利益を還元して喜んでもらえる山にしたいですなあ」と、山男たちは言葉に力を込めた。



林業4年目。最初の1年は体力的にキツかったですが今はなんとも。最近では、空気のいい健康的な環境で仕事しているのだなと、まわりを見渡せる余裕も出てきました。
15年目。親父の背中を見て林業の世界に入りました。獣害対策も兼ねて猟師もやっとります。仕留めた新鮮なイノシシや鹿のジビエは激ウマですよ!
53年目。若い時は辞めたいと思ったけど今では班長。五木では半数の世帯が林業やっとると思います。仕事の意見もバカ話もできる、年配と若いモンの風通しの良さがいい職場ですな。
