五木村では、山の木を丸ごと商品化して村の活性化につなげようと普及啓発事業を進めています。
五木産材住宅はこの事業のモデルとなるように設計・建築しました。
五木村を五感で感じられる住宅となるように「渡り顎+落し込み板壁構法 」を採用。
内部の仕上げは、梁や落し込み板が現し*のままとなり、五木杉の美しい木目に囲まれた空間となっています。
外壁は、断熱材(羊毛)や構造上必要な部材の上に、五木杉を仕上げ材として張り上げた下見板張りとし、簡便にメンテナンスができる作りとなっています。
*構造材がそのまま見える仕上げ手法
- 【物件名】
- 五木産材住宅
- 【完成年】
- 2015年
- 【設計】
- 有限会社 北川設計事務所
- 【施工】
- 青木建設株式会社、技建日本株式会社
- 【工法】
- 木造軸組構法(渡り顎+落し込み板壁)
- 【主な使用木材】
- 五木村(嶽団地)の杉、ヒノキ
- 【建築面積】
- 家族棟75.35m2×2棟/単身棟36.91m2×3棟/全棟合計:261.43m2
- 【延床面積】
- 家族棟75.35m2×2棟/単身棟36.91m2×3棟/全棟合計:261.43m2
- 【備考】
- 第9回人吉・球磨地域木造住宅コンクール出展作品
室内はまるで森林の中に居るような解放感。これは天井を造作せずに、木の構造をそのまま現したことによる効果です。
五木材をふんだんに使っており、通常の在来構法0.67m2/坪程度に対して、倍以上の1.5m2/坪の木材を使用しています。
また、これらの木材はすべて山で葉枯らし乾燥させたもの。
一般的に供給されている高温乾燥された木材(KD材)では失われてしまう
「木の香り」「自然な色」「抗菌作用」といった木本来の良さや特性をよく発揮しています。
シックハウス症候群などの病気を発症しないよう、なるべく接着剤を使わない作りを心掛けました。
そのため、木を現しにして内壁を仕上げ、木を使わない部分については珪藻土を使用しています。
葉枯らし材と珪藻土により、高い調湿機能を発揮するので、室内は爽やかで心地よく感じられる空気環境を保ちます。
湿気による木材の腐朽の心配が無いので、防蟻処理も不要です。
木材の加工は、現在主流のプレカット加工を使わずに、大工さんによる昔ながらの墨付け・手刻みで加工しました。 末永く住んでいただける丈夫な住宅であるためには、木の特性を見極めた適材適所の組み合わせが大切です。 五木材の特徴をよく知る大工さんの手によって、柱一本一本、板材一枚一枚、ていねいに仕上げられた住宅になりました。